比内地鶏
弊社の原点は、地域の皆様から「鶏っこ家」と呼ばれていた養鶏業から始まります。
比内地鶏は昭和48年の誕生以来、取り扱って参りました。
※「比内鶏」は明治に国の天然記念物に指定されため、口にすることはできなくなりました。その原種の味をそのままに、肉用鶏として品種改良を重ね昭和に生まれたのが「比内地鶏」です。
古くからお付き合いが続く和食業界の周年行事「四条公祭」では、比内地鶏の「丸鶏」を佐田商店がご提供しております。
佐田商店の扱っている比内地鶏の特徴
私どもでは常に安定した量の比内地鶏を仕入れられるように、大館市比内町にある複数の飼育農家と取引を行っています。
取引に際しては、それぞれの飼育農家の飼料や飼育方法を入念にチェックし、安全性や食味を確かめてから取引契約を行って参りました。
厳しい飼育マニュアルがあり、飼育農家はこのマニュアルに沿った飼育が義務づけられています。また、飼育と納入を希望する農家には面接を含めた厳しい試験があり、それをクリアしなければ同社の飼育農家の一員になることはできません。
クラッシック音楽の流れる鶏舎の環境
両側を山に囲まれた細長い平地に、大型のビニールハウスが3棟並んでいます。
鶏舎に近づくと、クラッシック音楽が流れています。クラッシック音楽を聞かせると、比内地鶏たちがリラックスできるからだそうです。
鉄のフレームと厚手のビニールシートで作られている鶏舎は、1棟2,000平方メートルあり、この中でおよそ1,000羽の比内地鶏が飼育されています。これは1羽当たり、2平方メートルの広さが与えられていることになります。
さらに鶏舎の下部は常に開放されており、比内地鶏たちは鶏舎の周囲に広く設けられた屋外の運動場で自由に過ごすことができます。
「運動はもちろんですが、比内地鶏たちは外に出ていろんなものも食べています。草をついばんだり、土の中のミミズを探して食べたり…。秋になるとイナゴも食べているようです。
鶏舎の中では常に飼料を食べられるようになっていますが、こうした食行動は野生種の血が強く残っている証だと思います。
飼料よりも、土の中のミミズやバッタを一生懸命に探していますよ。我々が与える飼料の方が、ミミズやイナゴよりおいしいと思うんですけどねえ」
と生産者の山本さんは笑います。
山本さんはこのような鶏舎を3棟所有し、およそ3,000羽の比内地鶏を飼育しています。
屋外の環境も良好な分、野生動物たちの犠牲になる比内地鶏もいます
山本さんに、鶏舎とそれに続く屋外運動場を案内してもらいました。
それまでゆっくり餌をついばんでいた比内地鶏たちが一斉にこちらを向き、明らかに警戒感を抱いている様子です。
「俺はヒヨコの時から世話をしているので鶏舎に入っても普段通りに餌を食べているけど、たまに知らない人が入ってくると、やはり警戒しますね」と山本さん。
山本さんを先頭にして歩いているうちはよいのですが、山本さん以外の人間が先頭になると、鶏たちは一斉に走り出します。走るというより、疾走するとお伝えした方が正確でしょう。
鶏たちが逃げないように外にはフェンスが張られて、その高さは2.2メートルほど。運動場の向かいは山で、その下には沢が流れる、とても恵まれた環境です。
「確かによい環境ですが、その分リスクもあるんですよ。空からはタカが鶏を狙って急降下してくるし、フェンスの下を掘ってキツネやイタチ、タヌキなどが侵入してくることがありますから。時々フェンスをチェックしていますが、どうしても年間に数羽はやられてしまいますね。でも放し飼いは止めません。おいしい鶏に育てるためには、この放し飼いが必要なんですから」
山本さんは時には夜も鶏舎の見回りをするといいます。これは野生動物たちに人間の存在を知らせるためです。また鶏舎内に流れる音楽も夜間はボリュームを絞った状態で流し続けていますが、これも野生動物対策だそうです。
餌は抗生物質とは無縁の配合飼料、水は奥羽山系の伏流水を「掛け流し」
比内地鶏たちに与える飼料は、飼育農家の生産者グループが安全性を重視して選定したものです。抗生物質等は一切含まれていません。
「生後1日目のヒヨコから飼育しますが、生育状態によって飼料の種類を変えています。現在は出荷までに5種類の飼料を与えています。そして出荷直前にはトウモロコシを与えます。肉質が格段に良くなりますから」と山本さんは言います。
飼料と共に重要なのが、鶏たちが常に飲んでいる水です。
山本さんたち飼育農家は近くを流れる「芦内沢(あしないさわ)」から専用の水路を使って水を引いています。
「この沢は奥羽山系から溢れ出る水を集めて流れており、我々が水を引いている所より上流に民家は1軒もありません。ここにはイワナも住んでいて、もちろん人間も飲むことができます。おいしい水ですよ。
この水が常に鶏舎内の樋(水を送るための管で、「とい」と読む)を流れているので、温泉に例えれば『源泉の掛け流し』状態です。この水は我々、飼育農家の自慢の一つですね」と山本さんは胸を張ります。